民事再生
民事再生とは,申立人に一定の定期的な収入がある場合に、今後の再生計画(債務弁済の計画)を裁判所に申し立てることにより、所有不動産や車などの財産を処分することなく、債務を圧縮することができる制度です。
再生計画が認可されれば、債務額は5分の1(最低額100万円)に圧縮され、その金額を弁済すれば、住宅ローン以外の借金については法律上返済する義務が免除されます。
なお,民事再生の中でも個人のみを対象にした手続を,特に「個人再生」といいます。
民事再生は,自己破産のように借金全額の返済義務がなくなるわけではありませんが,自己破産のように高価な財産(主に住宅)が処分されることもありません。
また,自己破産の場合,生命保険募集人等一定の職業に就けなくなりますが(資格制限),民事再生の場合はそのような職業に対する制限はありません。
そのため,民事再生は,借金額が大きく全額を返済することは困難だが,処分されたくない高価な財産(主に住宅)を所有している場合や,自己破産をすると職業を継続できなくなる方に有効な手続です。
※当事務所では、個人の方が行う民事再生(小規模個人再生・給与所得者等再生)につき専門的に取り扱っています。
法人の民事再生には対応しておりませんのでご注意ください。
民事再生を利用できる方
- 住宅ローンを除く借金の総額が5,000万円以下の方
- 返済不能となるおそれがある方
- 継続して一定の収入を得る見込みがある方(パート、アルバイトでも可)
【民事再生(個人再生)のメリット】
- 住宅資金特別条項を利用すれば、ご自宅を手放さずに債務の整理ができます。
- 司法書士の介入により債権者からの取立てが停止されます。
- 住宅ローン以外の債務を原則5分の1(最低100万円)に減額することができます。
- 再生手続きにあたり、借入れの原因は問われません。
- 自己破産と異なり、手続き中の職業制限や資格制限がありません。
【民事再生(個人再生)のデメリット】
- 信用情報機関に登録され(いわゆるブラックリスト)、新たにローンを組んだり、クレジットカードで買い物をしたりすることができなくなります。(約5~7年間)
- 民事再生したことが官報(※)に掲載されます。
(※政府発行の機関誌。一般の方が目にすることは特別な場合を除いてほとんどありません。) - 任意整理や自己破産に比べ、費用が比較的高額になります。また、それを比較的短期間に準備する必要があります。
(例:大阪地裁の場合 ⇒ 手続報酬+印紙代10,000円+予納金161,928円(※))
※予納金の内訳:①官報広告料11,928円 ②個人再生委員報酬半額150,000円(同委員が選任されない場合は戻ってきます。逆に選任された場合にはさらに150,000円が必要です。)
借入れの状況は、人それぞれです。専門家が最適の方法を判断し、債務の整理を行います。お一人で悩まず、まずはご相談ください。(お問い合わせ、ご相談は無料です。)
個人の民事再生手続には、小規模個人再生と給与所得者等再生とがありますが、以下では小規模個人再生についてご説明します。
≪個人再生手続きの流れ≫
司法書士への相談・依頼
司法書士の案件受任・介入通知で取立てがストップします。
債務状況の調査・必要書類の収集
貸金業者から取引履歴を取り寄せて、現在の債務状況を調査します。
同時に破産申立に必要な書類(戸籍・住民票・所得の証明など)を収集し、申立書を作成します。個人再生の申立
あなたの居所(お住まい)を管轄する地方裁判所に申立書を提出します。
破産手続開始決定
破産申立書面に問題がなければ、裁判所から破産手続開始決定が出されます。
官報に公告
破産手続を開始したことが官報に公告されます。
免責の審尋・決定
免責審尋が破産手続開始決定から約2ヵ月後にあります。
裁判官から免責不許可事由に該当しないか等について質問されます。
審尋は行われないこともあります。
問題がなければ、裁判所から免責許可決定が出ます。官報に公告
破産免責が決定したことが官報に公告されます。
審問期日(再生委員との面談)裁判官と面接します。
ケースによっては再生委員という第3者との面談になります。
債権者の決議債権者に再生のための計画を提示して許可を得ます。
再生計画案の認可決定裁判所より認可が下りれば再生計画の実行に移ります。
再生計画案に基づく債務の返済開始圧縮した借金を原則3年間で返済していきます。